子供は1歳を過ぎた頃から、だんだんと一人で歩ける子が増えてきます。
最初は「個性があるから」と、見守っていたママも子供が1歳半検診で歩けず、さらに1歳8カ月頃になっても歩く気配がないと心配になりますよね。
このように子供に病気があったり発達に問題があったりするかもしれないと、不安や悩みを抱えるママは多いと思います。
しかし、歩かない原因の中には異常のないケースもあるため、気にしすぎないようにしましょう。もし成長に関連した原因であっても、第三者である専門家にアドバイスや指導を求めることで、発達支援や治療などの適切な対応を早くに受けられます。
赤ちゃんのライフスタイルや個人の性格などが理由で、最初の一歩が出ないパターンはたくさんあります。どんな時に発育への影響がないのかと、ある場合にできることを知ると、不安を解消しやすくなりますよ。
この記事では、歩かない原因を広い視野で見られるように、次のことを紹介していきます。
- 一人歩きができるために必要な4つの力
- 病気や発達の遅れ以外の、赤ちゃんが歩かない原因
- 心配な時にするべき、ママが今できること
一人で考えすぎても、答えはなかなか見つからず、悪い方に考えてしまいがちになります。問題のないケースが多いことを知り、ママにできることをチェックしておきましょう。
Contents
【歩行に必要な4条件】1歳8カ月の子の歩かない原因を知るための予備知識を知ろう
普段、私たちが何気なく行なっている「歩く」作業は、体全体を同時に動かすとても高度な技です。実は、赤ちゃんが歩くには、4つの条件がそろう必要があります。
歩行には、骨や筋肉の強さだけでなく、動くように指示を出すために必要な神経系の発達も欠かせません。さらに、赤ちゃんの性格や周囲の環境などでも、歩き始めのタイミングは異なることがあります。
歩かない時はこの4つのポイントの内、どれかクリアできていない可能性があるんです。
- 足腰がしっかりしていること
- 体のバランスがとれること
- 転んだ時に手がつけること
- 歩くことに興味があること
この4つの条件を確認して、歩かない原因は一つではないということを、頭に入れておきましょう。
【①運動能力】足腰がしっかりしている
まず歩くために必要なのは、下半身の筋肉がしっかりしていることです。歩行時は地面を蹴り出したり、足を前に振り出したりするため、多くの筋肉を使います。
特に歩く時は、足と腰の筋肉を使うため、しっかり鍛えておくことが重要になります。
この図から、人は歩くときに足と腰を中心とした下半身の筋肉を、多く使うことが分かります。もちろん赤ちゃんも、足腰の筋肉がある程度しっかりしてからでないと、歩くことはできません。
足腰がしっかりし始めているかは、ちょっとしたスキンシップで確認できます。やり方は簡単なので、遊びながら確かめてみましょう♪
引用:babyco
- 赤ちゃんの両脇に手を入れて支える
- 支えたままひざを立てて座る
- ひざの上に赤ちゃんを立たせる
- 軽く赤ちゃんを上下しながらジャンプさせる
自分から足に体重をかけて立つと、足腰が強くなってきている証拠です。
この運動は、足腰がしっかりしているかのチェックだけでなく、筋肉を強化してくれる効果もあるのでぜひ試してみてください。
【②感覚能力】体のバランスがとれている
次に歩くためには、筋肉だけではなく体のバランスがとれることが必要です。
二足歩行で「歩く」という作業は、「片足を片方ずつ前に出して進む」ということなので、必ず片足重心になるタイミングがあります。その時に体の重心移動がきちんとできていないと、平こう感覚がつかめず転んでしまうため、バランス能力は必須です。
実際に赤ちゃんは、おすわりからつかまり立ちまでの動きで筋力をつけた後、つたい歩きでバランスをとる練習を始めています。
【筋肉とバランス力を鍛える赤ちゃんの動き】
おすわり | 首、背中、腰の筋肉がつきはじめる |
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ハイハイ | 首、肩、背中、手足など全身の筋肉を強くする |
つかまり立ち | 足腰をさらに強化 |
つたい歩き | 片足立ちやひざを伸ばしてバランス感覚をつかむ |
今現在、つたい歩きができていなくても、バランス能力が全くないという基準にはならないので安心しましょう。
まず、人には元々反射反応という危険を避けるための、無意識に行う動きが備わっています。例えば、熱いものを触ってしまった時、思わず手を引っ込めたことはありませんか。この行動も、私たちが生きていく上で大切な反射反応の一つです。
ホッピング反射もこの反射反応の一つで、バランス能力と深く関わりがあります。
- 赤ちゃんの両脇を抱えて立たせる
- 体を前後左右に倒そうしてみる
- とっさに足を踏み出す
ホッピング反射はバランスが崩れた時に、足を踏み出すことで平こうを保とうとする行動です。そのため、バランスを取ろうとする動きがあるかの目安として役立ちます。
家庭でも簡単にできるので、確認しておくことで、赤ちゃんの状態を把握することができますよ。
【③神経系の発達】転んだ時に手をつける
転んだ時に危険を感じて、とっさに手をパッと出せることも、歩くために必要な条件の一つです。
人は立って二足歩行をするため、他の動物に比べて転倒のリスクが高いです。そのため私たちには、転んだ時に無意識に身を守るための、本能的な動きが備わっています。
先ほどお伝えしたホッピング反射とは別に、転倒時に手で身を守るための、パラシュート反射という反射反応があります。
- 赤ちゃんの両脇を支える
- うつ伏せのまま水平を保つ
- 急に頭を下げると、手を広げて体を支えようとする
まるで両手を広げる反応が、パラシュートで降りる時の反応と似ているので、このように言われているようです。
この反射行動のおかげで、転んだときにとっさに手が前に出たり、体が傾いた時に手で体のバランスをとったりすることができます。
パラシュート反射が見られるかのチェックは、10カ月健診のときに小児科の先生によって行われます。神経系に問題がないかや、一人歩きの準備が整っているかなどを、確認する検査です。
通常パラシュート反射は、生後6カ月から1歳頃までにはできるようになります。個人差もあり、この反射が見られる時期が遅いと、歩けるようになるのも遅くなる可能性があります。
【④精神面】歩くことに意欲があること
最後に、赤ちゃん自身が歩きたいと好奇心を持つことも重要になります。
大人も同じですが、歩く時には必ず動機がついてきます。
「あれに触ってみたい」や「あそこに行ってみたい」など、色々なことに興味をもって歩こうとする回数が多いほど、運動能力も鍛えられて自然と歩けるようになります。
積極的に色々なことに興味を持つ子もいれば、何ごとにも慎重な子もいます。好奇心は、個性が出やすいということを理解しておきましょう。
1歳8カ月で歩行しないのは発達障害?? 意外と多い発達の遅れ以外の歩かない原因
子供が歩かないことで不安になる時、発達に問題があるのかを心配してしまうと思います。しかし、脳や体の発達の異常以外の原因で歩かないことも多くあるため、ここで確認しておきましょう。
歩き始めが遅くても、問題のないケースはたくさんあるので、心配しすぎなくても大丈夫です。実際に小児科のお医者さんの目線でもこのように、歩けないからすぐに発達障害があるとは判断しません。
小児科の診察で、発達の遅れを疑い始める必要があると言われるのは、1歳半頃です。しかし、それもあくまで目安。1歳半までに歩けなくても、その後問題なく成長している子もこれまでにたくさん診てきているので、心配しすぎる必要はありません。
引用:マイナビニュース
1歳8カ月で歩かないということだけでは、発達に問題があるという確定にはなりません。実際には、発達に遅れがなくても、歩かない原因が隠れていることも多いです。
- 家の中の環境に問題がある
- 他の赤ちゃんと関わる機会が少ない
- シャフリングベビー
- 体型の問題
1歳8カ月では、まだまだこのようなことが原因で歩かないということも、十分にありえます。
不安な気持ちをため込まず周りに相談しながら、自分の子供がこれらに当てはまるかどうかも、家で確認してみてくださいね。
家の中の環境に問題がある
実は、家の中の環境によって、赤ちゃんが歩くことをやめてしまうことがあります。
先ほどお伝えした通り、つかまり立ちやつたい歩きをすでにしていれば、歩くための筋肉が備わってバランスをとる練習をスタートしている証拠です。
そこから赤ちゃんが、なかなか手を離して歩いてくれないという時に考えられる原因は、家の中の家具の配置や物の量に問題がある場合です。
- 歩ける空間がない
- 家の中につかめる物が多くある
チェックしてみて、この中で当てはまる内容があれば、改善を検討してみましょう。
歩ける空間がない
家の中が狭い場合は、ただ単純に歩く場所がなくて歩けないのかもしれません。
家におもちゃが散らかっていたり、家具が多かったりしていませんか。せっかく、物につかまって立つことまでできていても、歩ける場所がなければ、赤ちゃんは諦めてしまいます。
私たち大人でも、はじめてのことにチャレンジする時に、万全の環境で挑まないと不安に感じる時がありますよね。
同じように赤ちゃんにも個性があるため、注意深い子は特に、歩くことを諦めてしまうことがあります。
家の中につかめる物が多くある
つかまりやすい家具や物が多くある時も、赤ちゃんは歩く必要性を感じません。
つかまり立ちやつたい歩きが始まると、視野が広がって色々な物に興味を持ちます。家の中につかめる物がたくさんあると、赤ちゃんは歩くチャレンジをしなくても興味のある物が、すぐに手に入ってしまいます。
歩くには、赤ちゃんの「歩きだそう」という意志が大切です。歩く必要を感じていない場合も、最初の一歩が出にくくなってしまう原因になります。
他の赤ちゃんと関わる機会が少ない
普段の生活で他の子供と交流する場が少ないと、歩かない原因になることがあります。
人は新しいことを学ぶ時に、真似をして覚えることが多いです。
赤ちゃんの場合、一番わかりやすい例は言葉の発達です。言葉は単語、発音、文法を全て見聞きして、真似することで話せるようになります。
新たなことができるようになる = 真似を繰り返すこと
当然、知らない言葉をいきなり話せるはずはありません。周りの真似をすることで覚えています。
他の赤ちゃんたちと触れ合うことで、周りの子たちの真似をする機会も増えます。他の子供がスタスタと歩いている姿は、「自分も歩いてみたい」という好奇心を刺激できて、歩くことにつながりやすくなります。
シャフリングベビーが原因
通常のハイハイではなく、お尻歩きをすることで、はじめての歩行が遅れることもあります。四つんばいの姿勢のハイハイではなく、座ったまま移動する赤ちゃんを通称「シャフリングベビー」といいます。
シャフリングベビーは、通常のハイハイで生活していないため、歩くための筋肉の成長が遅れてしまう傾向があります。
実はハイハイは、歩くためにとても重要な筋肉や体幹を鍛えてくれる役割をしています。
【ハイハイで使う体の筋肉】
引用:gooニュース
このようにハイハイで、筋肉やバランス感覚を鍛える全身運動ができます。
シャフリングベビーは、発達障害ではなく個性なので安心しましょう。おすわりしてから歩くまでは運動面での成長が遅れる場合もありますが、歩くようになれば通常の子と同じように、知的な発達に問題なく生活します。
歩行の遅れには、いろいろな原因があります。よくみられるものに、ハイハイをせず、すわったまま腰をゆすって移動する時期を経て歩き始める子があります。体がやわらかい子が多く、知能の発達は正常で、ふつうは1歳半から2歳ごろに歩き始め、その後の発達は正常です。
引用:兵庫県保険医協会
一度歩き始めれば、下半身全体の成長も他の子に追いついてくるので、焦らず見守りましょう。
体型が原因でバランスがとりづらい
赤ちゃんの頭が大きかったり、体重が重かったりすると、歩き始めが遅くなることもあります。
先ほどの「歩くために必要な4つの条件」の中でお伝えしたように、歩くためにはバランスをとる必要があります。
そして、歩行の土台となっているのは骨と筋肉です。赤ちゃんの骨は配列はできていても、大人と比べてとても柔らかいのが特徴で、体を支える力がとても弱いです。
引用:ASICS
また、赤ちゃんの肌ってぷにぷにしていて、触るととても気持ちいいですよね♪これは、まだ筋肉がしっかりしていない証拠です。筋肉がついてくる3歳以降は、柔らかくても新生児のときとは少し違った触り心地になってきます。
そのため足の力に対して頭が大きかったり、体重が重かったりするとバランスをとることが難しくなり、はじめの一歩までに時間がかかることがあります。
成長と共に、カルシウムが蓄積されてしっかりとした骨になり、さらに筋肉もついてくると自然と歩けるようになるので、あまり心配しすぎないようにしましょう。
歩かない原因はさまざま!! 1歳8カ月の我が子を心配するママが安心するためにできる事
そんな時は悩みを一人で抱え込まず、いろいろなサービスや機関に頼ることも大切です。
発達の遅れ以外でも、歩かないケースは多くあるので、心配になりすぎる必要はありません。しかし病気や発達に問題がある場合もあるため、医師や保健師、理学療法士などのプロの力を借りるという選択肢も、あらかじめつくっておきましょう。
なにより専門の機関やサービスに頼れば、異常があった場合でもすぐに対応できて、逆に何も問題がなければママの安心につながります。
では、不安なママが少しでも安心できるように、今日からできることを紹介します。
- かかりつけ医にしっかり相談
- 自治体の無料サービスに参加
- 専門的なリハビリ施設に通う
一人で考え過ぎるよりも、できることを一つずつやっていく方が、赤ちゃんが歩けるようになる近道になります。ぜひ、実践してみましょう。
かかりつけ医にしっかり相談
早いうちに、かかりつけ医にためらわず相談してみましょう。赤ちゃんは1歳8カ月で歩かなくても、問題ないケースは多いです。
しかし、発達の問題や病気が全くないとは言えないため、しっかり相談することが大切です。
【今後の成長に影響する歩かない原因】
脳性まひ | 生まれる前、新生児の時に、脳に障害を受けることで起こる病気。両手足、体が突っ張ったり、ふらついたりする。体を上手に動かせないことで、歩けない原因になる。 |
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筋肉・骨の病気 | 筋肉の病気で筋力が低下する。または、骨の病気で骨の成長が不十分になる。足に力が入らず立ち上がったり、歩いたりが難しくなる。 |
ホルモン・代謝異常 | 甲状腺ホルモンの低下、または生まれつきの代謝異常症がある。運動機能だけでなく、全体の発達が遅れてしまう。 |
精神的な発達障害 | 心の発達がうまくいかず運動機能が育ちにくい。この場合は、心と体は一緒に成長するので、体に異常はないが、手足を動かす機会が少なく歩くのも遅くなる。 |
このように歩かない理由として、病気や障害など将来の成長に関わる原因が隠れている可能性も、否定できません。
先ほどお伝えした通り歩行には、運動能力、感覚能力、神経系の発達、本人の性格などいろいろな条件が必要です。ママの力だけで、原因を特定するのは難しいため、かかりつけ医へ子供の様子を伝えておきましょう。
実際に、小児科を受診することには、さまざまなメリットもあります。
専門家の意見なので、問題がない場合は安心できる
家で過ごす時のアドバイスをもらえる
必要な時は、総合病院の小児科や整形外科などの、専門科を紹介してくれる
問題があれば早めに対応ができ、問題がなくても適切なアドバイスをもらえます。まずは、身近で相談しやすい小児科の先生に、いろいろ聞いてみましょう。
自治体の無料サービスに参加
自治体によっては、発達に心配を抱えるママのために、発達支援教室を無料で開いてくれています。お金もかからず気軽に参加できるので、ぜひ住んでいる地域で支援教室が行われているかを調べてみましょう。
自治体によって細かい内容は異なりますが、発達支援教室で主に受けられるサービスを挙げておきます。
集団支援:集団での活動を通して、ルールを学んだり、運動したりする
個別支援:専門家である、理学療法士に直接相談できる
集団で活動することによって、子供に「歩きたい」という好奇心を与える、きっかけになる可能性があります。何より同じ悩みを抱えたママ同士で集まれるので、相談したり励まし合ったりできる場になって、気持ちが和みますよ。
ぜひ、積極的に参加してみましょう。
専門的なリハビリ施設に通う
赤ちゃんのつかまり立ちが安定しない場合は、小児リハビリセンターに通うことをオススメします。
安定したつかまり立ちができていれば、家で簡単にできるリハビリもあります。しかしつかまり立ちが難しい場合は、専門のリハビリセンターに通う方が、身体の使い方を基礎から訓練してもらえるのでいいでしょう。
遠回りすることなく、歩けるためのアプローチを専門家が行ってくれるので、心配な時はためらわず相談してみましょう。
【まとめ】歩かない原因がはっきりしなくても落ち着いて行動!!1歳8カ月では発達障害とは限らない
1歳8カ月になると、周りは歩ける子ばかりで、焦りや悩みを抱えてしまう人も多いと思います。しかし今後の成長に心配のない場合が多いことを知り、問題がある時に備えてしっかりと、病院や自治体のカウンセリングを受けておきましょう。
それではもう一度、赤ちゃんが歩かない原因と、ママにできることを確認してみましょう。
- 家に歩く空間が少ない・つかむ物が多くある
- 他の赤ちゃんとの交流が少ない
- シャフリングベビーの可能性がある
- 体型が原因でバランスがとれない
- かかりつけ医に相談する
- 自治体の支援センターを利用
- 専門のリハビリに通う
歩かない原因を多方面から見てみると、問題ない場合が多いことが分かります。まずはママが一人で悩みを抱えず、専門機関に相談しながら、不安を一つ一つ消していきましょう。