離乳食を与える時に、特に怖い事はアレルギーですよね。最近では、野菜でアレルギーが出る赤ちゃんが増えています。
と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
野菜には、赤ちゃんの成長に必要な栄養素がたくさん入っています。離乳食初期から与えることができる野菜も多く、積極的に取り入れたい食材です。
栄養満点な野菜を、安全に赤ちゃんに与えたいですよね。
アレルギーは、命にかかわることもあります。この記事を読むことで、野菜がアレルギーの原因になる理由や、アレルギーリスクの高い野菜と低い野菜を知ることができ、より安全に離乳食を進めていくことが出来ます。
赤ちゃんの命を守るためにも、ぜひ参考にしてください。
Contents
どうして野菜でアレルギーが出るの?アレルギーが出やすい野菜に対する離乳食での工夫の仕方は?
野菜アレルギーには、アレルギーを発症するまでの時間によって遅延型と即時型に分かれる時間型と、口腔アレルギー症候群があります。時間型の場合、他のアレルギーと同様に皮膚をはじめとする全身に症状が出ます。
一方、口腔アレルギー症候群は野菜アレルギーの特徴的な症状で、口の中の粘膜に果汁が触れることで発症し、口と喉だけにしか症状が出ません。
では、野菜のなにが原因でアレルギーが起こってしまうのでしょうか。原因と対策方法を知ることで、野菜でアレルギーを起こしてしまう可能性がグッと下がります。アレルギーは怖いですが、工夫次第で危険性を下げることができるのです。
ここでは、野菜でなぜアレルギーが起きるのかと、アレルギーが出やすい野菜に対する離乳食でできる工夫の仕方を詳しくご説明します。
離乳食で野菜を与えるメリット
離乳食でこそ、野菜を与えることをオススメします。まだ食べ物に慣れていない赤ちゃんに野菜を与えることは、たくさんのメリットがあります。
栄養価が高い
冒頭でもお伝えしましたが、野菜は赤ちゃんにとって大切な栄養素をたくさん含んでいます。その中でも代表的なのが、ビタミンC、食物繊維、鉄分です。
【ビタミンC】
白血球の働きをサポートすることで免疫力を高めてくれます。水に溶けやすく尿などで体内から出ていってしまうので、食べることで摂取していくことが大切です。
【食物繊維】
腸の働きを整え、便を柔らかくしてくれます。赤ちゃんは便秘になりがちです。食物繊維を適切な量とることで、便通の改善に役立ちます。
【鉄分】
全身に酸素を運ぶヘモグロビンの材料になります。赤ちゃんは体内に鉄を貯蔵して産まれてきますが、生後5ヶ月頃までに使い切ってしまいます。
発育には鉄を使うので、鉄が足りなくなって鉄欠乏症になる子どもが多いです。食事として必要な鉄を補っていくことが大切です。
味覚を発達させる
野菜には、様々な味の野菜があります。色んな味を体験することで、味覚を発達させてくれ、好き嫌いを減らしてくれます。
野菜でなぜアレルギーが起きるのか
野菜を与えることでアレルギーが引き起こされる要因には、大きく分けて仮性アレルゲン、花粉症の2つがあります。
仮性アレルゲン
食物アレルギーの要因となるアレルゲンは、食べ物が体内で代謝されてできる化学物質です。一方、食べ物自体が持っているアレルゲンに似た物質が仮性アレルゲンであり、食物アレルギーと同じような症状を引き起こします。
その時の体調によっても症状の出方が変わるのも特徴の1つです。
- 全身のじんましん
- 呼吸困難
- 頭痛
- 下痢、嘔吐
仮性アレルゲンと呼ばれる成分の種類には、
- ヒスタミン(かゆみや気管支を収縮させる)
- アセチルコリン(副交感神経に作用し自律神経失調症状を起こしたり、気管支を収縮させる)
- ヒスチジン(ヒスタミンを生成し、アレルギーを悪化させる)
- レクチン(ヒスタミンを放出させ、アレルギーを悪化させる)
このようなものがあります。
難しい言葉がたくさん出てきましたね。私は、登録販売者として働いているのですが、ヒスタミンは、知覚神経に作用することで、かゆみとなって脳に伝えられます。
薬でも、かゆみを止める薬の多くには抗ヒスタミン成分が配合されていることから、かゆみの症状があるアレルギーにも深い関わりがあることが分かります。
花粉症
野菜アレルギーが出る多くの要因として、花粉症が影響していると言われています。
実は、野菜や果物のアレルギーと花粉症には、深い関係があるんです。
花粉症になると、体内でアレルギー物質に対する抗体が作られます。それを、IgE抗体と呼びます。野菜には、花粉のアレルゲンにそっくりなアレルゲンを持っているものが多いため、IgE抗体が反応してしまいアレルギー反応が起きます。
すでに花粉症になっている方が発症するケースや、今まで花粉症になったことがない方が花粉症と同時に発症してしまうケースがあり、口腔アレルギー症候群と呼ばれています。
- 唇の腫れ
- 舌の腫れ
- 顔のむくみ
- 喉の違和感
また、花粉症を引き起こすことで有名なのはスギですが、時期によってヨモギ、シラカバ、ブタクサなどがあります。
その人がかかっている花粉症により、アレルギー反応が出やすい野菜も違ってきます。
引用:果物を食べると喉がイガイガ、花粉症になると食物アレルギーになることも
しかし、赤ちゃんと花粉症ってつながりが無いように思えますよね。
と考えると思います。
最近では、花粉症になる赤ちゃんが増えてきているんです。花粉症は、花粉のアレルゲンに何度も刺激され発症します。つまり、まだ花粉に刺激されていない産まれてすぐの赤ちゃんが花粉症になることはありません。
しかし、今は飛んでいる花粉の量も昔に比べて多くなっており、赤ちゃんが花粉に触れる機会がたくさんあります。その時に花粉への抗体が出来てしまうことで蓄積していき、許容量を超えて花粉症を発症してしまう赤ちゃんが増えているのです。
また、親が花粉症の場合、遺伝によりアレルギー因子を引き継いでおり、発症することもあります。
アレルギーが出ないように工夫する方法
アレルギーが出やすい野菜を全く使わないというのは、難しいですよね。
アレルギーが出やすい野菜を使っても、工夫次第でアレルギーが出る可能性を下げることができます。
赤ちゃんの花粉症対策をする
赤ちゃんが花粉症にならなければ、口腔アレルギー症候群を防ぐことができます。できる対策としては
- 赤ちゃんとの外出は花粉の飛散が少ない午前10時くらいまでに済ませる
- 洗濯物を朝に干す
- 空気清浄機を使う
- 服を花粉がつきにくいツルツルした素材のものを着せる
などがあります。
与える量を工夫する
アレルギーは、抗体が許容量を超えることで発症します。なので、同じ食材を一度に大量に与えることや、何日も続けて与えることは避けましょう。
加熱する
アレルゲンは熱に弱いことが多いです。離乳食で食べさせる時には必ず加熱、あく抜き、湯通しをしましょう。
体調によって食材を変える
同じものを食べていても、体調不良の時にはアレルギー反応が起こりやすくなります。少し元気がない時や、具合が悪そうな時にはアレルギー反応が起きにくい食材を与えるようにしましょう。
離乳食でよく使う、アレルギーが出やすい6つの野菜
アレルギー反応の出かたは、野菜によって違ってきます。アレルギーが出やすい野菜を知ることで、もし赤ちゃんにアレルギーが出たとしても速やかに対応することができます。また、特徴を知ることで赤ちゃんごとに特に注意するべき野菜が分かります。
ここでは離乳食でよく使われる野菜のなかで、アレルギーが出やすい野菜とその特徴を6つご紹介します。
ナス
ナスは、水分が豊富で、夏に不足しがちなカリウムを効率よく取り入れることができる食材です。皮をむいて柔らかく煮ることで、離乳食初期から与えることができます。
一方、ナスが苦手な子どもは多いです。アレルギーが起きやすいということを知っておかないと、アレルギーで体調が悪くて嫌がっているのに、「好き嫌いをしちゃだめ!」と怒ってしまうかもしれません。
ナスが持っているアレルゲンとは、シラカバから出る花粉のアレルギーと似ているアレルゲンを持っています。シラカバでの花粉症を持っている方に多く、口腔アレルギー症候群を引き起こします。
また、ナスは毒性が強くヒスタミン、アセチルコリンという物質が含まれており、仮性アレルゲンの1種になります。仮性アレルゲンが影響して、食物アレルギーのような症状を発症してしまう赤ちゃんもいます。
人参
人参は、カロテンや食物繊維が多く、免疫力UPの効果も期待できる栄養価の高い食材です。離乳食でも、積極的に使っていきたいですね。
人参は、1年中手に入りやすく日持ちもするため、離乳食として使う機会の多い食材なので、アレルギーのことを分かっておくことが大事です。
人参に含まれる仮性アレルゲンは、アセチルコリンです。
また、人参はハンノキの花粉や、ラテックスを原料としているゴム製品と似たアレルゲンを持っています。
ゴムで出来ている哺乳瓶の乳首や、おしゃぶりなどでアレルギーが出てしまう赤ちゃんは特に注意が必要です。
玉ねぎ
玉ねぎは血液をサラサラにし、腸の働きを整えてくれます。また、加熱することで離乳食に甘みを足してくれます。
アレルゲンはほとんどが熱に弱いですが、玉ねぎには熱に強いアレルゲンも含まれているので、知らないと「加熱したから大丈夫」と過信してしまいます。
突然ですが、犬に玉ねぎを与えてはいけない理由を知っていますか?それは、玉ねぎに含まれる硫化アリルという成分を消化するための消化酵素を犬は持っていないからです。
ですから、硫化アリルを消化するための消化酵素を持っている量が通常より少ない赤ちゃんが食べると、アレルギーが出てしまうことがあります。
硫化アリル自体は、加熱すればアレルギー発症を抑えることができますが、熱に強い二硫化アリルが残ってしまい、アレルギー反応を起こす可能性があります。
トマト
トマトは、免疫力をUPさせてくれるリコピン、腸の働きを整えてくれるペクチンをはじめ、栄養バランスに優れた食材です。
しかし、トマトは、スギ花粉の花粉症にかかっていると、口腔アレルギー症候群を発症させることがあります。また、トマトの中のヒスタミン、アセチルコリン、セロトニンが仮性アレルゲンになり、かゆみやじんましんなどの症状を引き起こします。
山芋
山芋は、消化酵素が入っており、消化を助けて胃を健康に保ってくれます。また、免疫細胞を増加させるという効果もあります。
ところが、山芋は、食品表示法による「アレルギー表示を推奨する特定原材料に準ずる20品目」に入っています。
山芋に含まれるアセチルコリンが仮性アレルゲンになります。子どもに発症するケースが多いので、離乳食で食べさせる場合は必ず加熱するようにしましょう。
ジャガイモ
ジャガイモは、炭水化物を含んでいるので主食としても使うことができます。味にクセがないので、離乳食に使うのにも利便性が高い食材です。
ジャガイモは、フライドポテトなど子どもが喜ぶメニューが多いです。子どもに与える機会が多い食材は、アレルギーについてきちんと知っておきましょう。
ジャガイモはタンパク質が分解されずに体内に入り、免疫細胞が有害と判断することでアレルギー反応が起きることがあります。タンパク質の摂りすぎは、アトピーやアレルギー性鼻炎の原因にもなります。
また、イネ科植物の花粉症を持っていると、口腔アレルギー症候群になることもあります。
ジャガイモのでんぷんもタンパク質を含んでいるので、つなぎや片栗粉でもアレルギー反応が出てしまう赤ちゃんもいます。
これで安心!アレルギーが出やすい野菜を避けた離乳食を紹介!
ここまで、野菜アレルギーが起きる仕組みと、アレルギーが出やすい野菜を6つ紹介してきました。では、
という疑問にお答えします。
ここでは、アレルギーが出にくい野菜と、アレルギーが出にくい野菜を使った離乳食の例を3つ紹介します。
アレルギーが出にくい野菜
アレルギーが出にくい野菜とはいっても、アレルギーが全く出ない野菜はありません。
赤ちゃんが食べる食材全てにアレルギー発症のリスクがあるので、安全であると決めつけないようにしましょう。
アレルギーが出やすい、出にくいを判断するための食物抗原強弱表というものがあります。食物抗原強弱表に基づいて、抗原レベルが低く離乳食に適している野菜とは
- 白菜
- 大根
- チンゲンサイ
- 小松菜
- カブ
- レタス
などが挙げられます。アブラナ科の野菜は、アレルギーを起こす確率が低いものが多いです。
アレルギーが出にくい野菜で作る離乳食3選
まだ、離乳食作りに慣れていない方は、アレルギーが出にくい野菜を使ってどのような離乳食を作っていけばよいのか悩むと思います。
アレルギーが出にくい野菜を使った離乳食の例を3つご紹介しますので、参考にして作ってみてください。
白菜のみぞれ煮
引用:クックパッド
用意するものは大根、白菜、お湯です。
- 白菜は柔らかくなるまで茹でてすり潰します。
- 大根は厚めに皮をむき、すりおろします。
- お鍋にお湯と大根を入れて煮立ててから、白菜を加えてフタをして煮ます。
かぶ粥
引用:Rakutenレシピ
用意するものは、10倍粥とかぶです。
- かぶの皮をむいてイチョウ切りにします。
- 葉は柔らかい部分を刻み、②と一緒に柔らかくなるまで茹でます。
- 茹でて柔らかくなったカブをすり潰して10倍粥と混ぜ合わせます。
小松菜の白和え
引用:ベビーカレンダー
用意するものは小松菜、豆腐、だし汁です。
- 小松菜の葉の部分を柔らかくなるまで茹でます。
- 柔らかくなった小松菜を裏ごしします。
- 豆腐は熱湯で少し茹でます。
- 豆腐をすり潰し、小松菜、だし汁を加え混ぜ合わせます。
【まとめ】アレルギーが出やすい野菜を避けて、安全な離乳食を楽しもう!
最後に、アレルギーが発症する可能性の高い野菜と低い野菜をまとめます。
- ナス
- 人参
- 玉ねぎ
- トマト
- 長いも
- ジャガイモ
- 白菜
- 大根
- チンゲンサイ
- 小松菜
- カブ
- レタス
野菜でアレルギーが出る理由や、アレルギーが出やすい野菜を知ることで、離乳食を食べている時に赤ちゃんがアレルギーが出ても焦らず対応できるようにしましょう。
また、アレルギーが出にくい野菜を参考にして、離乳食初期の頃はアレルギーの出にくい野菜から徐々に慣らしていくことで、安心して離乳食を進めていけると思います。
離乳食を始めたばかりなのに、野菜でアレルギーが出ることを知って心配に思っている方の不安解消に繋がれば幸いです。